「ミツバチの羽音と地球の回転」柏市上映会と監督トークショー(8/14)

書き尽くそうと思うと切りがないので、あっさりと書く。


鎌仲ひとみ監督の「ミツバチの羽音と地球の回転」を親子で見に行った。柏に映画と監督を連れてきたグループがあり、映画の後で監督のトークも聞けたものだ。概要は公式サイトほかを見て欲しい(実際はこのサイトだけでは不十分と思うが)。祝島原発反対運動と、問題へのひとつの回答としてスウェーデン自然エネルギー利用とそれを可能にするエネルギー政策・流通システムの転換を提示している。私たちは2回目に行ったが、3回目も満員のようだ。

http://888earth.net/


2時間15分は長いと思う。しかし生活の時空間をじっくりと描くとこうなるのだろう。
面白いのは、笑わせる映画ではないにもかかわらず、何回もアハハと声が上がることだ。苦笑だったり、登場する子どもや豚の愛らしさだったり、政策の滑稽さ、あるいは強行に祝島を埋め立てようとする電力会社が拡声器で主張する言葉の哀しさへの笑いだったように思う。「みなさんが心配しているような、海が壊れるようなことは絶対ありません。絶対と言っていいほど壊れません。」「このまま、本当に農業とか、第一次産業だけでこの島が良くなると本当にお考えですか」笑いながらも笑えない。
警官ともめるおばちゃんが「放しませ、おしりを触りよる、警察が」と叫んだのはさすがに可笑しかったが。


この映画の作成は昨年だった。そしてあの地震が起きる。祝島では地震直後も「もっと安全な原発を作るんです」と工事が進められていたが、現在は周辺市町村議会、県議会での決議を受けて一時凍結になっているそうだ。
27年以上反対運動を続けていた住民のリーダー「これ、前からはっきり言うとんやけど、島の人たちだけで原発計画つぶすってことは絶対できひんって。だけど、引き延ばすことはできるぞって。こちらができるだけ引き延ばしている間に、社会情勢がどんどん変わってきて、原発がもう必要ないような世界になってくれればいいし、もう原発はだめだというふうな世論形成ができてくればいいんだけど、(後略)」
ビワの大切な収穫の時期と重なってしまっても、反対するときには行かなければならなかったのだと(映画後のトークで)監督は話していた。
それであの地震が起き、確かに社会情勢と世論が変わりつつあるのだが、これをいったいどう考えれば良いのだろうか。もちろんだから良かったなどという話をしたいのではなく、地震原発事故が起きる前から彼らがこの言葉を言い続けていることについて、その覚悟と明確さに驚く。そしてその間、私は何も荷担も寄与もしていない。


エネルギー政策を変えることができるし、すべきとの感覚はあった。しかし原子力がなければ今の生活を維持できない、じゃあオマエは今の生活と引き替えにエネルギーのあり方を変えるつもりがあるのかと、言われ続けてきた。現在は政治家レベルでもエネルギー転換や電力供給システムの変換を主張する人も出てきたが、まだそう簡単ではない。某政治家のブログによると、例えば再生可能エネルギーの買取法案が三党で合意され、可決の見通しとなったけれど、しかし実はこれからがたいへんなのだと書いてあった。私たちレベルでこれらに関わるためには、市町村議員レベルからでも良いから、あんたには一票くれてやったけど、エネルギーについてはどんなふうに考えているんだいと問うことからだとのことらしい。


監督によれば、技術的に日本は自然エネルギーに関する特許・アイディアの2/3を持っているにもかかわらず、それを活かしているのは海外ばかりなのだそうだ。

(住民等のセリフは、パンフレットのシナリオより引用)