「星の王子さま」の学者をときどき思い浮かべる(その2)

先日の話(その1)の続き。のような、そうでもないような。

ついでにいうと、あの有名な“大切なことは目に見えない”というフレーズも重要なのだと思うけれども、私はあまり思い出さない。また、自分の中でうまく生かされていない気がする。おそらく私は目の前のことだけで手いっぱいの生活をしているからなんだろう。
 
(その1)で、天文学者や地理学者の話は寓話的に理解していると書いた。

しかし周りの人やあるいは講義で“ほら、「星の王子さま」に出てくる地理学者がいたじゃない?”と聞いてみても、あるいはぼそっと“着ている服が服なので”などとつぶやいてみたところで、あーそーねと頷いてもらえるわけではないようだ。

なので、“サンテグジュペリの「星の王子さま」にこういう下りがあってね”、と前置きをしてから話さざるをえない。しかしこうすると話がもったいぶった感じになるので使いづらい。勢い、話の端には出せなくなっている。
 
ずっと私は学者であるというアイデンティティを持てないでいたし、今でも持てていない。なんですかそれ、だ。研究者と呼ばれるのも無理で、かろうじて大学人だと思っていた(事務処理ばかりで事務員と自称していたこともある、よね?>ご同輩)。
でもいつの間にか、自分のやっていることが研究として大したことはなくとも、社会との中で自分が何が出来て、またどの程度しか出来ないかを理解できるようになってくると、少しずつ研究に携わる側の人間という部分を考えるようになってきた。
その過程で、ときどき天文学者や地理学者の話は思い出していたのかもしれない。決してメインではなく、ついでのようにだけど。
 
せいぜい私のメインは、自分の言葉で不器用にこだわる、という辺りにある。途中何度も間違いつつ、紆余曲折経ながら。