We'll Never Turn Back/Mavis Staples

Mavis Staples

We'll Never Turn Back

We'll Never Turn Back

ジャケ買いすらできそうなほどに目を奪われるCD。2人の女性の動きがドラマティック。それが灰色との単色で描かれる。加えて左に薄く透明な青のライン。構図も惹かれる。

ゴスペルやソウルの歌い手として知られる。ルーツ・ゴスペルの歌手であり、父・姉らと Staple Singers でリードボーカルとして活動。公民権運動の盛り上がりとともにメッセージ性が強くなっていったとのこと。その後ソロ。


ザ・ステイプル・シンガーズ (The Staple Singers) Wikipedia


聞いてみて、move されるというのはこういうことをいうのかしらと思った。足もとを動かされるような力を持った歌声だ。朗々とというのではない。押しつけがましくもない。move という意味では私は Cassandra Wilson にもやられる傾向があるんだが*1、あちらはもう少し搦め手な気がする。Mavis Staples はもう少しシンプルに強い。だからといって表現が大雑把ということではないので念のため。


1曲目から力強い。あまり抑え目ではないというか、音楽的な知識がないので上手く表現できないが、音の作り方や録音が、あまりいじっていないかのような加工をしている。野太いギターに加えてドラムがバタバタと叩き付けられる。


メッセージを十分受け止めたわけではないし、自由を求める言葉が私に働きかけると言うよりもむしろ、声や音やリズムが私を動かす。気がつくと彼女の謡うがままに心を弾ませている。
比較的シンプルな歌詞がリフレインされ、そして次第に強くなっていく。それに合わせ気持ちが高ぶってくる。#7“My Own Eyes”や#8“Turn Me Around”は特にそのような構成になっているから私は簡単に乗せられる。自動車運転しながらストンピングしたりしている。*2

ついでに書くと、実は#3の“We Shall Not Be Moved”を聞いていると、あーこりゃこりゃと合いの手を入れてしまいそうになる。だってリズムがそうなっているんだもん。その辺はさすがにワークソングっぽいっていうか。

we are fighting for freedom, we are fighting for children, just like a tree that's standing by the water, we shall not be moved...そんな感じ(“We Shall Not Be Moved”)。


検索していたらたまたま関連論文が見つかった。関心のある人は確認してみてください。
プロテスト・ソングに関する社会学の論文らしい。pdfファイル。'We Shall Not Be Moved'も引用されている。

Protest Movements: Class Consciousness and the Propaganda Song (by R. SERGED ENISOFFS, Simon Fraser University)(pdf file)


ほかのブログだと例えばこんなのもあるのでご参考まで。


そして、YouTubeにあった Mavis Staples から#2“Eys On The Prize”を。

*1:The Weight とか You Gotta Move とかすごい>from CD 【Belly of the Sun】 by Cassandra Wilson

*2:さすがにハンド・クラッピングはしない。でもステアリングをバンバン叩いたりして。