知的障害がある親の子育て支援者向け実践ガイド(英国)(その2)

先日書いた続きを少し。前回は下記の記事だった。
 →知的障害がある親の子育て支援者向け実践ガイド(英国)(misc., 2007-12-18)

前回は位置づけや背景に少し触れた。今回は目次・内容について。
 
タイトルはひとまず上に掲げたあたりかなと思っている。
原文タイトル*1にある good practice guidance の good を尊重するならば、“より良い”が入っても良さそうなのだが*2。ただしそうすると、「知的障害のある親の子育てを支援する人のためのより良い実践ガイド」のようにくどくなりそう。あるいは思い切って趣旨を取って単純なタイトルに切り替えるか。今回は一般的な読者までをあまり想定しないレベルで訳す予定なので*3、少しゴツゴツしても良いかなあ。*4


冊子は63ページ構成。前半が本文で、後半が付録。少し付録の分量が多いくらい。


目次は以下の通り。3つの項(section)と4つの付録から構成されている。まだ本文を読んでいないため、中身のコメントは推測になる。たぶんこんな感じで書いてありますねということなので、ご了承いただきたい。

序文と要約(この本に書いてあること)

第1項 より良い実践のための5つのカギ
第2項 保護を考えつつ支援するときのより良い実践とは
第3項 コミッショニングを踏まえたより良い実践

付録A 実践にかかわる考え方や言葉の説明について
付録B 関連する制度と法律について
付録C 役に立つ関連機関と情報
付録D 文献


第1項で5つのカギとして挙げられているのは、次のような点。

1.わかりやすい(accessible)情報とコミュニケーション
2.照会・アセスメントの手順と手続き、適性な適用基準、ケアの方針のいずれもが明確でよく調整されていること
3.ニーズとストレングスのアセスメントに基づき、親と子どもに合わせてデザインされた支援ができること
4.必要に応じて、長期の支援も可能であること
5.個別のアドボカシーが利用できること

本文中でこれらが説明される。


第2項では児童保護手続きが必要となる場合には、どのように児童福祉側と親(知的障害)の側からの連携と取り組みが重要になるかが記載されているのだろう。両分野の連携のキモとなりそう。


そして第3項がコミッショニングについてということになる。コミッショニング(commissioning)は別記事としてエントリーすべきと思うが、サービス提供に関する検証あるいはモニタリングのようなものらしい。最近の英国医療・保健・福祉領域で良く出てくるようになった。


以上のような構成で実践ガイドはできている。英国保健省から12月に発表された知的障害者白書の今後の実施計画書のような文書(Valuing People Now: From Progress to Transformation)を読むと、この実践ガイドにもとづく施策が目標とされていたりするので、本書はそれなりの重要性を持っているようだ。まあ、政府の作ったものだから重視するのは当たり前のような気もするが。


前回も書いたように、私どもではこの実践ガイドを共同で翻訳する人を募集している。関心のある方はご連絡ください。
 

*1:Good practice guidance on working with parents with a learning disability

*2:本件で一緒に仕事をしてくれる方と相談して指摘いただいた

*3:文体を直訳に近いところ寄りにするという意味。日本語として意味がおかしいままで良いというわけではない。労力他の理由です

*4:さっき見直したら、長いタイトルでも良いかなという気もしてきた