英国知的障害者白書2001の改訂提案と意見募集/Valuing People Now(その1)

12月4日に英国保健省より“Valuing People Now: From Progress to Transformation”が発表された。少し紹介する。
本レポートの趣旨は、《2001年白書の検討に基づく今後(2008-2011)の知的障害者支援計画の提言ならびに意見募集》というところだと思う*1。この手続きを本レポートでは consultation と言っている。しかし私はまだ consultation の語感を十分に理解していない気がしており、間違っているかもしれない。もしご指摘いただければ修正するので、お教えいただきたい。


なお本日のエントリーでは、Valuing People Now に至るまでの経緯と背景について、「序論ならびに本レポートの概要」(Part 1: Introduction and Executive Summary)に従って紹介する。そして中身の構成は、2年越しで(その2)に出す。
 
0)まず、この“Valuing People Now”は英国保健省のHPから入手可能である。
 →Valuing people now: from progress to transformation - a consultation on the next three years of learning disability policy

もちろん easy-read バージョンもある。また意見を回答するための様式も一緒にダウンロードできる。回答様式にも、知的障害がある人などにも書き入れやすいバージョンがある(12/20に改訂版も出た)。

意見の募集〆切は、2008年3月28日。


1)端緒は2001年。英国の知的障害者に関する白書(Valuing People 2001)がこの年に出された。これはどうやら30年ぶりということらしい。
 →Valueing People 2001(英国知的障害者白書)(その1)(misc., 2007/05/16)
 →Valueing People 2001(英国知的障害者白書)(その2)(misc., 2007/05/17)


2)またこれとともに、知的障害者本人に対する調査も実施され、その実態が発表された。

 →Adults with learning difficulties in England 2003/04(DH, 28 September 2005)


3)英国はこれに従ってその後の施策を展開し、その成果検証を順次提出してきた。
 →Valuing People: The story so far... A New Strategy for Learning Disability for the 21st Century(DH, 22 March 2005)
 →Our health, our care, our say: a new direction for community services(DH, 30 January 2006)


4)成果については2005年次の調査によると、概ね“良くなった(better)”との反応が得られているものの、一部は“同じ(same)”が相対的に多かったり、あるいは“悪くなった(worse)”がやや多い領域もあった。例えば「就労・労働」や「健康」は same が better とほぼ拮抗しているほどに高い。またそれほどではないにせよ、「居住」「お金」なども幾分 same が多くなっていた*2


5)このような点を鑑み検討したところ、このまま2001年の計画枠組みで今後も進めていくことは困難であると判断し、変更することとした。
それで今回の Valuing People Now では、2008年〜2011年の計画について意見を求めることにしたものである…ってのが、経緯と背景らしい。

だから意見を期限付きで求めているし(上述のように、2008年3月28日)、知的障害のある人にも回答しやすいアンケート用紙を工夫して同様に配信している。


中身の構成については、(その2)に記載する。
 

*1:日本ならば福祉計画って書くだろうけど、引っかかるので支援計画とした。

*2:'Valuing People Now' page 9, Fig.1参照