「狼と香辛料」アニメは6話までで原作1巻
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02
- メディア: 文庫
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この物語は(も、かな?)原作を読んでアニメーションを見るといっそうそのおもしろさを味わえる。主要な台詞はだいたいアニメーションでも使われているようだ。原作付きアニメの場合*1、中には原作をまったく変えるアニメもあり、それが成功することもあるが*2、この作品については基本的に原作をトレースすることで魅力を引き出しているようだ。
この物語のおもしろさは、老獪でありながら茶目っ気(かわいらしさ、子どもっぽさ)のあるホロと、若い(ホロからすれば小僧っ子)だが頭の回るロレンスのやりとりにもあるからだ*3。それは相手との気を抜かぬ言葉の応酬でもあるし、また相手をはぐらかしながらも端々で見せる感情だったりもする。
ホロのCV(小清水亜美)はときに引っかかることもあるにせよ、期待に応えているのではないかと思う。複数の性格をその身に含み込んだようなのがホロのキャラクターで、その変わり様を理解して声で表さなければならないからだ。
ただし、もちろん原作(小説)のほうが情報量が多く、語り尽くせぬあれこれがアニメからでは知ることが難しい。出来ないのではなく難しいと書いたのは、いちおうそれらに符合する場面もアニメでは示されているからだ。場合によってはアニメーションとしての独自演出も加えている。ナレーションを使わずにセリフやストーリーの持ち方、演出の付加などでそれらを或る程度説明できているのは良いことだろう。しかしやはり原作を読むと、残念ながら落とされている情報があることも気づく。そして原作を読むと、それらの情報から惹起される感情もまた楽しみきれなくなっていることにも気づく。この辺りはメディアミックスの限界なのであって、文句を言うべきことでもないだろう。むしろ良くやれているほうなのではないかと思う*4。そのへんはやはり原作を読み込んだうえでアニメーションを見ることで楽しむが良かろう。*5
そしてまた、原作とイラストだけでは楽しめない妙味がアニメーションから得られることを私たちは喜ぶべきだろうと思う。
どうやらアニメーションは原作2巻までを専ら用いて終えるように思える。さらに続編も作ってほしいと思うところだ。