漫画版「狼と香辛料」/小梅けいと

漫画版といっても大して変わらないのではと躊躇したんだが、ひとまずはと買ってしまった。小梅けいと氏は、「くじびきアンバランス」の人だなあという認識(作画がね)。
表紙を見て、顔のかたちがちょっと崩れているので、うーむと思ったんだが。

狼と香辛料 I (1) (電撃コミックス)

狼と香辛料 I (1) (電撃コミックス)


中身を読んで感想。

原作にほぼ則っているようだ。クロエではなくヤレイを登場させているし。
さすがに資料など読み込んで描いたらしく(当たり前といえばそうであるけれど)、アニメーションでは無かったカットを見ることができるのは嬉しい。だから、原作を読んでアニメを見て、それでもさらに物語を楽しむことができる感じ。それが一番良かったかな。


ホロの描き方はサービスがしてある。まあそういえば大きいお友だちはだいたい分かりそうなもので。
個人的には、びっしょりと濡れたときに髪の毛がぺたっとなる様子などは、ああ確かにそうだなと思え、それはちょっと感動したというか、買って良かった部分かも。
そうなると、では「下がれ!」とホロがすごむあたりはどうやって描くのかしらと興味が沸くのだけれど、はて、そこまで行くのに何冊かかるだろうか。漫画版1冊で原作の半分くらいだから、4冊目くらいまで行けば拝めるか?


不満なところ。感情の描き方がちょっと派手。というか大げさ。そのようにあからさまではない機微のやりとりが本作の醍醐味であったはずではないか。でもその機微を黙って描くと、今度は気付かれないのかな。だからわざとはっきりと描くことにしたのかもしれないけれど、それはやはり興を削がれる。このあたりは漫画版が初見の読者向けの配慮なのではないか。作画者としても苦しいところだったのかもしれない。