子育て支援の会員メールから

英国の知的障害がある親の子育てを支援する人のネットワークから最近送信されてきたメール。

ネットワークメンバー各位


地域の巡回訪問看護師から問い合わせありました。


曰く、“支援している知的障害のある親御さんから Parental Responsibility や Residency Order について質問を受けました。わかりやすく説明したいのですが、そういったことを説明している easy-to-read な文書や情報はありませんでしょうか?”とのことです。


この件について情報お持ちの方はご連絡お願いします。


全員がそうだということではないが、中には子どもを育てるということについて責任や自覚の希薄な場合というのはあるようだ。そのために子どもとともに暮らすことの楽しさや大切さなどを丁寧に育む必要があることが、今読んでいる支援マニュアルなどでも強調されている。そしてこのような自覚は促成するのではなく、ゆっくりと培っていくべきと指摘されている。

今回のメールにある巡回訪問看護師は単に質問されただけなのかもしれない。あるいは何らかのトラブルが懸念され、きちんと説明しなければならない事態となっているのかもしれない。そのへんはよくわからないのだけれど。


さて、
Parental Responsibility や Residency Order というのは児童福祉というか親権、家族法に関連する専門用語らしい。さきほどブログに書き込んでから改めて調べていたら間違っているところもあったので訂正して書き直す(それでもまだぜんぜん不十分なのだけれど)。
こちらに簡潔に書いてあった。


Parental Responsibility(PR)とは、子どもの健康、教育、福祉に関して情報を得たり決定する権利のこととある。いわゆる親権/養育権か? 英国で親権/養育権がどのように整理されているのか良くわからん。日本のHPで Parental Responsibility=養育権と訳してあるページはあったが、正式訳かは確認できない。調べ出すとたいへんそうなので、いったん保留して読み進める。
また“父親は〜”との主語で説明されているのがちょっと引っかかる。これは父親に特異的に発生する問題なのか、それとも父親向けページということなのか。でも Fassit UK 自体は父母関係なさそうな気がするし。続く文面には、パートナーと婚姻しているときに生まれた子どもについては、父親は自動的にPRを持つとされている。やはり父親のほうが身分確認の必要性が強いってことなのか。


父母の同意がある場合は書式を作成して提出すればよい。しかしパートナーの同意がない場合は裁判所で争うことになる、とある。ふむふむ。


子どもの祖父母や親族はPR申請はできない。しかし Residency Order(RO)申請はできる、とのこと。それでROとは、子どもに関する居所指定ということらしい。単なる住所指定ではなく、誰と住むか、つまり子どもの養育を誰が身近でするのかに関する指定となっているようだ。


以上で Parental Responsibility(Fassit UK)のページを読むのは終わり。
英国の家族法あるいは児童福祉に詳しい人ならこの辺は周知のことなのだろう。勉強不足。ご存じの方がいたら教えてください。よろしくお願いします。


ついでに Residency Order で海外ページを検索すると、親の子育て相談コーナーが多く引っかかってくる。私の子育てが十分ではないので祖母に Residency Order が与えられそうなんだけどどうしようかとか、あるいは、私の甥っ子の母親がアルコール依存で子育てに問題があるので、私が Residency Order を申請しようと思うのだが、など。



実はこのエントリー、何の気無しに書き始めたもので、メールの依頼も一般的な親の責任などの説明文書を求めているだけだと思っていた。だから簡単にコメントして10分で終わると考えていた。レトリックで悩んでも30分で片が付くと。
ところが書き始めると Residency Order の用語確認が必要となり、さらには一般的な言葉と思っていた Parental Responsibility まで専門用語であることがわかってくる。ああ、こんなもの書くんじゃなかったと思うが後の祭り。結局早朝までかかってしまった。短いメール紹介が、ずいぶんと長い書き込みになった。
何やってるんだ>おれ


日本語で関連がありそうなところとしては、以下が見つかった。まだ読んでません。*1

*1:橋爪論文はhtml形式をリンクしたが、pdfでも入手できる。「上智法学論集」から執筆者別で、は行を検索。