コミック版『数学ガール』下巻/結城浩・日坂水柯

前のエントリーで誤植を報告したら返事を戴いたので、それで気をよくして記念。*1

訂正のアナウンスはこちら。


ということで、もう少し書き足す。


私は文系頭だからあまり数式を追えない。専門書は手に負えない。「ニュートン」などの科学系雑誌(一般啓発レベル)を読むのは嫌いではない。そういえば小学校の図書館では「算数物語」が好きだったな。
サイモン・シンフェルマーの最終定理」はかなり夢中になって読んだ。あれは数学書というよりも数学者のドキュメンタリー的な本だからかな。ソフィー・ジェルマンの不遇にはやりきれない気持ちになったし、ワイルズを巡るやりとりには興奮した。もちろん、何人もの日本の数学者が貢献していることにも誇らしく思った。そしてそれらの業績がさらに大きなテーマ(ゼータの統一)に向かって広がっていることにもどきどきした。読んでいる当時は、楕円曲線がモジュラーであるとかないとか電車の中で偉そうに考えてたんだけどな。

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)


さて、このたび私が読んだのは、コミック版『数学ガール』上下巻。
基本的なことをゆっくりと展開していくのは、自分では出来ないにしても興味深かったし、それを理解出来る限りは追いかけてみた。
下巻でも主人公たちが“さて、この式をこれからどうしようか”とか“たまたまこうしてみた”と言って数式を展開する。その言葉や行為が私には新鮮だった。問題を解けたときの爽快さや達成感はいちおう知っているものの、残念ながら数学は課題であり受験の関門という枠を出なかったのだと思う。
だから主人公たちが自由に数式をいじっていくとなどということとは無縁だったのだ。そんなわけで、彼らと数学の付き合い方は、面白い眺めだ。そういう彼らの遊びを私は眺める。


コミックではなく原作は、次にフェルマーワイルズの定理、つまりフェルマーの最終定理を巡るお話に仕立てられているらしい。

数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)

数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)


ついでに、関連動画。

 

ところでこの本はけっこうな人気らしいが、他の近似書、つまり男女付き理系解説書的なところからすると若干違う特徴を持っているのかもしれない。*2
例えばキャラクターの書き込みが他よりも深くてその分だけ萌え系色有りとか、数学の理解が目的にはあるのかもしれないが、数式に馴染む・いじくる・転がす・楽しむことに重きが置かれているようだとか。

*1:既に2つ目も報告されたようだ

*2:そんなのと一緒にするなとどこかから声が出そうだが