「サマーウォーズ」見てきた。面白かった。“セカイ系家族アニメ”な娯楽作。
上映直後に子どもと一緒にトイレに。
「あ〜、ウォーゲーム見といて良かった」*1
「そうだな、思ったより接点あった」
「もう一回見たいな〜」
「この後何もなけりゃ見たいよね〜」
(現実に戻って)「あ”〜〜〜〜」
その後近くの蕎麦屋*2で昼ご飯を食べながらずっと感想を話し合っていたら興奮した気持ちが少し収まってしまった。そのため、ここに書き込んでカタルシスしなくちゃ、な欲求は無いし、他にやることもあるのだが、先日予習したこともあるのでちょっとだけ書く。(あからさまなネタバレには気をつけるけど、見た感想である以上は中身に触れるからご了承ください)
個人的な感想を言えば、良い娯楽作になっていたと思う。
以上。
陣内家に問題の発生も解決もその手段も気概も(おまけに高校球児も)みんな揃っている/集まっているなんてあり得ないと言えばその通りで、いわゆる、ヲイヲイな“セカイ系の家族アニメ”なのかもしれない。でも娯楽作品として極めるためには、どこまでイヤらしさを出さずに爽快感に上り詰めてしまうかが大事なのだろうから、その意味で本作はちゃんとやり果せたのだろうと思う。必要な機器が家族のつてで揃っていくときには、ははっ、そんなものまであるんかいと心の中で大笑いしちゃったもの。
あと、あそこで五光かいっと心で突っ込んだ人も多かったことだろう。いや、少し声に出したかも。*4
でもまあいい。隣で小さい子どもを連れたお父さんが私より若干若いくらいだったかな。たぶん。彼から聞こえる“たはっ”とか“ぐふっ”とかの抑えた笑いが私と同じようなポイントだったから、上映終わったときには思わずにやっと笑いつつ握手でもしてやろうかと思った。(しなかったけど)
家族とネット(バーチャル)をどちらとも扱っていると言われていたのは、うなずけた。バーチャルが押してくると家族場面が入ってきて食事したりとか、コケたことしたりとか。それが何度か交替で波を作っていた。
この対比ととともに提示されたのは、バーチャル世界と現実世界の繋がりと乖離のようなものだった。OZの事件によって現実世界に大きな混乱が出ているという繋がりは示された。しかしそれでも祭りは行われようとしていた。また未曾有の危機が迫った瞬間であっても、そのいっぽうで高校野球の長野大会決勝は行われていた。ネット内のことを知っている人は知っていたし、知らない人は知らなかった。つまりそのような緊張と緩さによって、両者は関わり合っているのだなと思わされた。
このような関係が「ぼくらのウォーゲーム」でも表現されていることは、昨日の書き込みでも示したとおりだ。
- 「サマーウォーズ」予習としての「ぼくらのウォーゲーム」(misc., 2009-08-08)
ひとつよくわからなかったのは、これだけラブマシーンが面白がってOZを混乱させ、その結果いろんなトラブルが現実に生じているにもかかわらず、電話はずっと通じていたのはどうしてか。基本的にラブマシーンは多くのアカウントを奪いその権限に基づいた悪戯をしていたので電話関係は免れた、ということなんだろうか。よくわからん。「ぼくらのウォーゲーム」だと一時的にNTTが混乱するのだけど、今回はそういう事態は生じていないように思われる。しかしネットをネタにしている以上はここを止めると話が進まないってことなのか。たぶんネットが世界的に閉じてしまったら、物語はまったく別の展開となってしまう。
それと、最後の危機を回避するためにアレの軌道修正を試みるけど、その結果他方にどのような被害が及ぶか不明だったことを考えれば、修正しないほうが良かったのではないか?
ただしこれは侘助が行っていた“核心的で重要な作業”を止めてはならない、最後まで終わらせなければならない(映画中ではいつの段階で完遂したのかは描かれていない)ことを考慮したとするならば、いちおう理解できなくはないのだけれど。それに陣内家敷地がやたらと大きかったから多少の軌道修正はOKとでも?
もうひとつ、これは単なる興味なのだが、侘助のアバターは結局映画中には出ていないのでしょうか?
もしかしたらどこかにヒントとかあるかもしれないねと子どもと一緒にパンフレットなど見直してみたのだが、そういう遊びの手がかりは隠されていないようだった。もしご存じの方がいらっしゃいましたら教えてください。
そういえば誰かが、軍事関係のセキュリティまでOZから関与できるのはおかしいと指摘していたけど、これはどうなんだろ。まあこれについては軍のほうからちょっかいを出してきた時点でいろいろと隙があったと考えるのかな、と。
まあ、そういうあれこれは作品が楽しいからつい弄ってみたくなるのであって、本作が良いことには変わりありません。
で*5、一瞬だけ陣内栄さんの若き日の写真が出ていた。あれが欲しいなと。きりっとしていてすっきりしていて良いなあ。あれのために、ムック本とかいろいろ買おうかなと。
陣内栄さんと言えば、瞳がいろいろ動く演出が面白かった。
健二と初対面で問いただすときは、健二以上に瞳が左右に動いていた。侘助を見るときにはどっちだったか? あー、もう思い出せない。その後、健二を見据え、想いを伝えるときには、瞳はしっかりと動かなかったのではなかったか。DVDか何かで見直さないと分からないなあ。でも、動くときと動かないときがすごくはっきり違っていたのが興味深かった。そして破顔一笑。何度も言うけど、すてきな女性でした。
侘助のことは最後に回収したのですね。これは本作にとってはよいまとめではないかと思う。社会性がないとか何とか文句を言う人*6だと諸点を指摘するとともに、侘助の収め方も納得できないところがあるかもしれない。でもあそこだけ変な感じに残すのは、やはり視聴者にとってはしこりになると思うから。
そして、あの朝顔の回想シーンがとても美しかった(朝顔に挟まれた道を歩く栄と侘助の思い出)。
朝顔と言えば、健二が最初に暗号を解く場面の時間経過が朝顔の開花で表現されていた。
その場面も含めて景色の絵がやはり美しかったのも印象的。私は他所もそうだが、ソファなどが並ぶ夜中の居間のシーンで、うゎと声を出した。
いや〜、面白かった。
仕事しよ。
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*1:「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」(細田守監督、2000年)のこと。前日にDVDを見ていた。そのへんは昨日のブログ書き込み参照。
*2:まあ、いちばん空いていたので
*3:90歳間近のおばあちゃん。念のため。
*4:本作では花札のこいこいが重要な役割を果たす。パンフレットにも役は書いてあるから、それで十分だけど。
*5:何が、で、だ。
*6:特定の人を思い浮かべなくて良いですから