知的障害の子どもが増えている?とかいう記事

知人のML/MMから教えてもらった記事。ここに掲げたタイトルだとちょっと正確ではないので言い直す。
“子どもの総数は減り続けているが、特別支援学級特殊学級)や養護学校に通う知的障害の子どもは急増している。”(記事冒頭)とのことである。
 
増える知的障害の子ども 特別支援学級56%増 自治体の対応に遅れ(東京/中日新聞、2007年11月13日)
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新聞に示されたデータ及び表(文部科学省調べ)を参照する限りでは、どうやら増えているようだ。【通う子どもの数】が。…私は教育のことは(も)あまり詳しくないのだが、このデータでいう‘通う’ってのと‘在籍’ってのは同じと見てよろしいんでしょうか。
 
で、その原因については、社会的な見方を示す人と、生理的な見方をする人が紹介されている。後者のほうは実質数が変化しているという解釈であり、いっぽう前者は実質数の変化以外の変化に注目する。*1,*2

やはり気になるのは、実質的な変化があるのかどうかというところ。これは私には見当がつかない。
社会的な意味での変化というのはあったかもしれず、これはカバー範囲を拡大させている傾向にあると感じる。だからひとまずこっちの意味で数が増えたというのは理解できる。
 
これと似た話を先日誰かとした覚えがある。発達障害という言葉がとても頻繁に取り扱われるようになってきた昨今だけれど、ほんとうに発達障害が増えているのか、それとも社会的な意味で数えられる対象数が増えているのか、はたまたそのように言われているだけなのか。実感として、とにかくそのような人と会い、接し、支援を考える機会がぐんと増えたことは確かなのだが。

私もあまり詳しくはないので、よいデータがあったら教えてください(教えていただけたら書き足します)。
確か、疫学的な資料だと小規模あるいは病院・地域単位の検討は発表されていたような。また海外データが同様に幾つか。教育文脈だとかなり定義をおおざっぱにしたうえでやらざるを得ないから、そのようにしてとった資料が幾つかあって。そういう雑誌論文とかは眼にしたなあとの記憶。
ただし、それらによってここ数年〜10年くらいで増えているとか減っているとかの変化を示している資料は(文科省調べの他に)あるのかしら。下記の「発達障害白書」では、関連資料は(ちょびっと)あるけれども、丁寧に論じているわけではない。

発達障害白書2007年版

発達障害白書2007年版

 
もっとも私の立ち位置では、その人が発達障害なのかそうでないのかとかはあまり気にしないし、数がきちんと分からなければ困るということでもない。ただそのようにして社会に流布されている言説の意味を、自分の立ち位置から眺めておきたいなと思ったので文章にしてみた。*3

*1:もちろんどちらかのみを採用したい人もいれば、両者の合成結果と考えたい人もいるだろう

*2:問い合わせに答えて言わされているだけかもしれないので、記事の両学者がそのような主張に立つか/立ちたいかどうかは問題にしない

*3:ということで上記の文部科学省資料もちゃんとネタ元を確認すればいいのでしょうけどやってません、すいません