クローバー生活講座「お金はだいじだよ」(その1)

ストックしてあるネタから、最近だけど先日行ったこのお話の続きを。→今日は雨がちらちら(misc., 2007-12-22)


世田谷区就労障害者生活支援センター「クローバー」にお邪魔して、生活講座を拝見する。

 →世田谷区/就労支援センター・生活支援センター]
(クローバーは三軒茶屋駅からすぐのビル8Fにあります)

シリーズの講座のうち、10月に「お金はだいじだよ」の1回目、そして今回が2回目とのこと。
 
以前に江國さんの紹介をした際のお話は下記にある。こちらも併せてご覧いただきたい。
 →「金銭感覚とは生活に関わる身体感覚である」 by 江國氏(misc., 2006/05/26)
 →その金を払うのはあなた♪(misc., 2006/06/25)

そのときと比べても、内容がさらに加わっている。すべてをきちんと書くことはできないので、少しだけ紹介する*1。私が先日お邪魔したのは12月期の第2回だが、手順として先ずは第1回から紹介する(参加してないけど、いただいた資料から)。


生活講座の参加者はクローバーの登録者さんで、どうやらいずれも在宅で就労中あるいは求職中の方々らしい。20代〜30代だろうか。12月に伺った際には、男性6名、女性5名ばかりが集まった。江國さんは手品師かボードビリアンかといった言い回しで参加者と掛け合いながら話を進める。パワーポイントのスライドをみんな見る。


1回目の10月期は、計算ができることより金銭感覚を身につけようとか、個人用の(それぞれの嗜好や金銭感覚に見合った)金銭感覚のものさしを見つけましょうという話。このあたりは以前のブログ記事(上に紹介)でも紹介した。で、それらを身につけるためには、実際のお金を生活場面で扱う経験なども大事。


それから今回は、自分たちの収入を振り返り、これと支出を比べるとどうなるんだろうということを図示して一緒に考える。これまでにも指摘したとおり、多くの方々は自分の収入・支出の全容を把握していないことが多い。多くの方が小遣いの範疇で認識しているのが自分の世界(お金の世界)だったりする。

それで江國さんも、小遣いを基本として、そこから生活の中でのお金を見つめていく。どこからどうやってもらってますか、大きな買い物や旅行の時は? 足りてる?足りてない?


で、小遣い帳について一緒に考えていくようにするのだが、このときに一番興味深かったのは、小遣い帳の工夫。
(1)自分の使い方をざっと振り返って、自分にとって大切な費目や大きな費目など、注目すべき費目をどーんと立てて記帳するようにし、支援者もそれをフォローしていくようにする。
加えて重要なのは、(2)“自分一人じゃたいへんかもしれないけど、クローバーに来たときに一緒に見ていけば簡単だよ”と協同作業を前提とするところと、(3)“大枠はピタッと合わなくても気にせず付けていこう”と言い置くところ。

完璧に記帳することが目的なのではなく、自分にとってのお金との距離感を、自分なりに実感し続けることができるようにしていく配慮。そして、一緒に記帳することで、お金について話し合う媒体としても利用できるというところ。
小遣い帳は自立のためのツールと言い過ぎると、金額の間違いなどが気になる。でも目的を少しずらすと、より意味のある関わり合いができるようになる。

このへんがグループホーム利用者の小遣い帳調査をさせていただいたとき(平成17年度日本消費者教育学会発表、鳴門教育大学)と一致していたのでたいへん興味深かった。


(その2)に続く
 

*1:現在準備している本には江國さんにも寄稿していただく予定。それでもすべてを書いていただくことはできないのだけれど。