千年女優/今敏
正月休みに見たアニメーション映画。
「パプリカ」もそうだが、今敏の描く女性は日本的な美しさが魅力的。そして物語はイマジネーションと現実、過去と今が入り組んで、他人に伝えるのは困難。
その中で、主人公の女優(藤原千代子)の一途な思いを私たちが体験し、身に染み込ませていくこととなる。
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物語の始めのほうで、睡蓮の花が千代子の好きな花として語られる。花言葉は純真なのだそうだ。これが物語の基調となっていったようでもある。
→スイレン,すいれん(睡蓮)(花言葉事典)
千代子が少女のときに偶然かくまった男性(鍵の君)を、彼女は生涯追い続ける。その過程が彼女の演じた映画の回想と重ねて描かれる。現実の千代子の捜索と、映画内で演じる女性の行動がシンクロする。これを千代子の聞き役である立花源也(とカメラマン)が狂言廻しとして手助けする。千代子も、そしてその男も、回想の中に入り込む。
見ていてひたすらに残るのは、千代子のひたむきな思いだ。それを見るものに植え付けるためのからくりが仕掛けられているのだから、当然とも言える。だから千代子はいつまでも若いのだと、彼女をねたましく思っていた女優(詠子)が指摘していた。
いつの時代も千代子が変わらずに身に付けているものとして、左の目の下のほくろがあり、これが各年齢の千代子(いろんな役柄の彼女)に統一感を与える手助けをしていると思われる。そしてもうひとつ、彼女はしばしば走るのだが、その走る姿も千代子をいつのときも千代子たらしめているように感じた。「鍵の君」と出会う前の彼女が運動会で走る姿も始めに描かれて、これもやはりトーンを整えるのに一役買っている。*1
最後に千代子が語る言葉がある。彼女がこの物語を自らまとめる言葉になっている。あってもよかったが、無くても良いように思った。
また物語中に「呪い」のイメージもあるのだけれど、これに触れるとネタバレなのでやめておく。
私はこのアニメーションが作られた背景も知らなければ、関係者の語る記事もまったく読んでいない。予備知識があったらもう少し違っているのかもしれない。それはこれから少し仕入れる。*2
→今敏 Wikipedia
→KON'S TONE(今敏 official site)