決定支援は為されていると思われている、のかもしれない

以前に、日本の成年後見法では意思決定支援を担保しないと書いた。また、後見の現場で法曹関係者と福祉関係者が使えるガイダンスのようなものが必要だとも書いた(後者の話は「実践成年後見」No23所収)。


そのようなことも含み込み、日本の現場で決定支援をもう少し丁寧に(しつこく?)考えていくとしたらどうなるだろうという本を作ろうとして編集会議を進めている*1
出発点を英国の Code of Practice(以下COP)に置いている。当初はCOPの解説本みたいなスタイルだったのだけれど(そしてそれで十分だと考えていたのだけれど)、編集からそれではダメと言われた。
話し合いを進めてみて分かったのは、一般には(ここでいう一般とは法曹関係者・福祉関係者等というくらい)*2成年後見制度で本人意思は十分配慮されているし問題なく運用されているだろうという程度の認識なのではないかということ。だから私たちの持つ問題意識はそのままでは共有されませんよという指摘だった。んー、それはわからないでもなかったんだけど、でもきちんと章立てに反映されてないじゃんと言われればその通りだったのだ。さすが編集。


だから前半で現行制度の問題点をきちんと指摘しましょうということだった。また現場でも決定支援がどうなんだということも書きましょうと。
それでひとつの示唆としてCOPを出してみる、と。もちろんCOPがバラ色だと思っているわけではない*3。ただ視点を変えてみると、日本ではやらないのが当たり前だった手続きを(実際はどうあれ)やろうとしている制度もあるんだと言ってみようということ。


決して私だけでは編めない本だと思う。作りたいと思ってもできない本だと思う。だから強力な書き手が加わって、そこにご一緒させていただけるのは有り難いと感謝する。
ただしこれまでモヤモヤ考えていたことなどを、この夏にはある程度書き出さないといけなくなったのであり、それは自分の力不足を思い知る機会でもある。まあ、自分の視点で自分に書けること(自分だから書けそうなこと)を書いていこうと思う。書きぶりが甘いと指摘されそうな気もするし、不十分きわまりないという結果になるかもしれないんだが。*4

*1:広く自己決定云々の本になると世に多いが、後見現場に片足突っ込んだスタンスで書くのはあまり多くないだろう

*2:本当に一般だと、成年後見って何?になるだろうから

*3:海外ネタを紹介してお終いにはしない。それは他の人たちがやる。

*4:こうやって捕らぬ狸の話をエントリーするってのは、自分で自分の首を絞めて追い込んでるってことなのかな…