イヴの時間act02:SAMMY

第1回配信についてはこちらに書いた。


今日のこのエントリーは第2回/act02:SAMMYについて。今日公開(配信された第3回については、この後ですぐにエントリーする。


実は第2回についても2ヶ月前、公開の当日に何回か繰り返して見て、それですぐに文章を書いたんだが、どうにも引っかかりがあってエントリーせずに置いていた。どうしても人間とそうでないことの境界について触れなければならなくなる点が、ここには書かない別の理由で得心行かなかったからだ。
じゃあ今日エントリーしたのはその辺が腑に落ちたからなのかというと、そうでもない。ただ、私が悩む両者の問題には実はけっこう距離があるので、混乱する必要はないのかもしれない、別々に考えても良い、というか同じに考えちゃマズイだろと思うところがあったためだ。*1


で、以下は2008-10-2くらいに書いた文章です。

こういうアニメーションがそこそこ商業的に作成できる日本という国は、やっぱり良いのかなと思う。*2


前回も書いたが、このようなアンドロイドの能力設定(しかも感情まで独自に持っている)の中で感情移入すべきではないというルールが存在していることは本来かなり困難なことなのだろう。だって私たちは“アイボ”にだって容易に心を委ねるような生き物だ。ならばそれらに感情を持たないためには、外見・形状自体に制限をかけるしか無かろう。しかしそうではない世界であることがややこしい。だから私の気持ちとしては、こんなのありえねー、だ。でもそれを通そうとしているという世界設定。
そんなわけで、倫理委員会などの出番ができることとなるらしい。

実はこうした喫茶店が営業していることも困難じゃないのかな。だからまあ、“アンドロイドができて間もない時期”という設定にしているのだと思われる。そして、だからこそ今後のエピソード(筆者予想)が始まっていくのだろう。


始めのほう(2:38くらい)で、建築現場の前を人間とアンドロイドが歩いているシーンがある(act01でも同じ場面は使われていたが強調されていない)。やや引いたショットなので数人が歩くのを見渡せる。どうもお金持ちのお嬢さんの買い物に4人が随行しているらしい。バックがスクリーンになっていて広告が流れている(倫理委員会の広告だったりして、伏線かなー)のだが、その広告が白いとアンドロイドのリングは見えなくなり、バックが黒いとリングが目立ってわかるようになる。つまり、そんなことで人間とアンドロイドは区別がつかなくなるくらいに互いが似ている世界での話なのだ。そのシーンは主人公たち(リクオとマサキ)がアシモフロボット三原則を確認している(そして、そこにウソをついてはいけないとのルールがないことを提示する)場面と重なる。


それから倫理委員会が次第に表に出てくる。
しかし倫理委員会ってのも何なんだろう。というか、どういう対象を倫理的観点から干渉・管理しようとする組織なのだろう。その辺が実はよく分からない。第1回分のCMで、機械で作った野菜に対して警鐘を鳴らしていたのも倫理委員会。ここから、現在は機械で作る野菜が多くを占めている、あるいは拡大しつつあることがわかる。しかしそれを倫理委員会が懸念しており、しかし倫理委員会はこれを取りしまるほどの権力を持っているわけではないから「倫理」を根拠に訴える程度の関わり方をしている組織、ってことなのかな。公的機関かどうかも不明。国家公安委員会ほどではないようであり、しかし公益を目的とするだろうからそれなりの設置根拠を持っているのだろう。公共広告機構と比べてみても、ちょっと違うような。
で、あそこがどうもアンドロイドの「個性化」に危惧を抱いて調査しているようだ。

先ほど、あまり強い権力は持っていないのではと書いたが、アンドロイドの能力(規格)設定には影響力があるかもしれないセリフも伺える。さてさて。どうなるんだか。


そもそも上記に挙げた野菜の話がなぜ倫理に関わるのか。私たちの社会だって既にかなり機械が作ってるし。いやそうじゃなくて、例えば遺伝子組み換えやクローン製造による成長管理野菜ってことなのかな。
ならばアンドロイドが人間と酷似してい社会に脅威を感じている組織であるとまとめることもできそうだが。つまり、ロボットと人間の境界性が混乱することが倫理的にまずいと感じている組織なのか。


act02の最後にぶつ切りで交わされたセリフからすると、もしかすると喫茶店“イブの時間”を調査している機関は、アンドロイドの個性化を抑制する仕様変更を求めてくるのかもしれない。うーん、そうだとしても、たぶんドリ系は根絶しないと思うけど。ただ一般への拡大は阻止できるかもしれない。またアンドロイドと人間との境界を明示的にさせる役には立つかもしれない。
すると、

現実社会(あ、私たちの社会ね)ではこのような仕様をロボットに持たせることは未だ困難であり、実現はかなり先のことになると思われる(間違ってたらご指摘を)。少なくとも現実社会でロボットが相手をおもんばかり相手が何を考えているのか察して行動することを求めるのは無理だ。という議論は現実のロボット利用の話題と少し交錯する。だからその場合には、例えば介護ロボットは何をして何をしないのか、何を与え何を失わせるのかを慎重に検討した方が良いのではないかと思う。それはロボットの能力論なのではなく、そのようなロボットが投入されることによる周囲の変化の問題だ。


いやしかし AKIKO が相変わらずイヴの中では明るくて良かった。
髪を後ろに束ねた SAMMY は魅力的。
イヴのウィンクが突出してアニメ的で、それが良い効果。
リクオは野暮。マサキはこれから何をし出すか、恐い感じ。ただしマサキはある意味、彼の居る社会における“倫理的な”人間であるのかもしれないのだが。


この次に、第3回に関するコメントを書く。→第3回
 
 

*1:これ自体が間違っている思い込みかもしれないけど。

*2:萌え系嫌いじゃないけど、そればかりで構成される番組が幅を利かせている現状は、安易な姿勢を見るようでなんだかなーな感じです