「傷物語」

キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。実にふざけたネーミングだと思う。その辺にあって目についたものとか雑誌をぱらぱらめくって見つけたものとかを組み合わせたと言われても躊躇無く信じそうだ。*1
しかし本書を読むと、それが頭を離れなくなる。


傷物語 (講談社BOX)

傷物語 (講談社BOX)


化物語はガハラさんであり八九寺であり、駿河問いであり、撫子さんの本だ。しかし傷物語はキスショットと羽川翼の物語だ。
アマゾンの書評だかで誰かが書いていたが、なぜこれで阿良々木暦が羽川さんとくっつかなかったのかねと思ってしまう。作者がずっと羽川さんの立ち位置を少しずらして書いているとはいえ。


冒頭にも書かれているが、これはバッドエンドの物語なんだろう。しかも実にシニカルだ。そして阿良々木暦は酷い奴だと思う。
しかしもっと酷いのは、作者の西尾維新だ。
読者は最期にそのことに気づく。


ところで真名の取り扱いってこういうのもあるんだねと、感想を持った。今までは「ゲド戦記」や「イティハーサ」の取り扱いがしみこんでいたもので。違和感というよりも、ふーんと。


吸血鬼の漫画はこれまでにも多数ある。最近だと「クオ・ヴァディス」だろうか。傷物語を読んでいる最中は考えなかったのだが、読み終わったところでふと頭に浮かんだ。


(関連)


ゲド戦記 1 影との戦い (ソフトカバー版)

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イティハーサ (1) (ハヤカワ文庫 JA (639))

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QUO VADIS クオ・ヴァディス 5 (バーズコミックス)

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*1:よくよく考えて決めたと言われても驚かないけど。