「ハートキャッチプリキュア」の「デザトリアン」が興味深い

プリキュアシリーズ5作目の「ハートキャッチプリキュア」がちょっと面白い。*1


本作における毎回の敵キャラは「デザトリアン」という。詳しくはWikipediaなどの該当部分を読んでいただきたいが、デザトリアンは人々の悩みや苦しみ、あるいは心の負の部分(劣等感や執着心など)を取り込んで核とし、これを幹部キャラが増幅してモンスターとするような設定になっている*2。各回に焦点を当てられる登場人物がいて、その人の悩みの紹介と展開が前半部分、そしてこれが取り込まれてデザトリアンとなり、後半で暴れる。その際に悩みをはっきりと叫びながら攻撃する。こうやって敵モンスターが言葉を毎回発するというのはシリーズ初らしい。そしてプリキュアがこれを打ち破ると核であった悩みなどは落ち着いて、その人に関するその後が少し語られるパートで1回の放映が締めくくられる。めでたしめでたし。
なぜ落ち着くのかなどについては、やはり Wikipedia などの“こころの花”部分に説明されているので読んで欲しい。プリキュアが浄化能力を持っており、“こころの花のクリスタルを当てる”のだそうだ。そういう設定。


対象年齢を考えると、悩みや負の部分をはっきりと出す番組構成にしているのは面白いなあと思う。うらやましいとか、悲しいとか、分かって欲しいとか、本当はこうしたいけど我慢しているとか、シンプルな悩みのかたちにして提示される。真面目に受け取れば、そんなシンプルじゃないだろうとは突っ込める。でもシンプルだからこそスジとして視聴者に届きやすいのではないか。しかも30分番組、正味20分くらいだし。*3
しかも、毎回の悩みは完全解決・解消されるわけではないように思える点も悪くない。毎回そうそう完全に納得できてしまったらそのほうが怖い。登場人物はデザトリアンとなって戦うことにより、その悩みを吐露し、消化・昇華しているようにも見える。あるいは言葉にすることで外在化・客観化するということなのかもしれない。だから戦いが終わって“心の花”が取り戻されると、その人は少しすっきりして、前向きになる。


おジャ魔女どれみ」も前向きな取り組み姿勢が比較的好きだったのだけれど、今回もそんなわけで興味を引かれた次第。実は最初は5匹目のドジョウをどうするつもりなのか、キャラクターデザインなどは前作よりも年齢を下げたみたいだし、パスかなあと思っていたのだが、ついつい見続けることとなっている。以前から、日曜朝の番組ってときどき引っかかる。平成ライダーとか。


「ハートキャッチプリキュア!」OP&EDテーマ::Alright ハートキャッチプリキュア!/ハートキャッチ☆パラダイス

「ハートキャッチプリキュア!」OP&EDテーマ::Alright ハートキャッチプリキュア!/ハートキャッチ☆パラダイス

ハートキャッチプリキュア!&プリキュアオールスターズ まるごとブック! (講談社 Mook)

ハートキャッチプリキュア!&プリキュアオールスターズ まるごとブック! (講談社 Mook)

*1:この番組を見ている大きいお友だちにとっては、以下の記述はよくあるコメントだからまあ無視してください。自分で書いてみたくなったということで。

*2:より正確にはその人の“こころの花”が取り込まれるということなのだが、本ブログではちょっと簡略化しているのはご容赦。

*3:いや、番組で取り上げる悩みだってけっこう複雑だろうという反論はあってもよい。提示や取り上げ方がシンプルであると言っている。