「障害学生支援についての教職員研修プログラム」の使い方

日本学生支援機構(特別支援課)より標記のプログラムが発行された。以下のページに概要が紹介されている。またこのページから(1)「報告書」ならびに(2)「パワーポイント教材」がすべて入手できる(ビデオ映像を除く)。
加えて同ページから「支援ガイド」「事例集」もダウンロード可能。
教育機関等(全国の大学、短期大学(部)、高等専門学校、各都道府県教育庁等)への配布物は(1)「報告書」と(2)「パワーポイント教材」に加えて、パワポ資料に基づきアナウンサーが説明を加えている(3)「映像編」(ビデオ版)もDVDとして同梱されている。いや、成果物が(2)(3)であって、(1)が添え物か。*1
なお、私の分担は肢体不自由の部分。


特徴は上記ページにまとめられている。私が書いても似たようなものなので、引用する。

【主な特徴】

1.すべての教職員が知っておくべき基礎知識を集約
障害学生支援についての教職員研修プログラム開発事業検討委員会が、障害学生支援についての基本的な知識・情報をとりまとめた集大成です。


2.オリジナルプログラムの作成に対応
研修の時間や目的等に合わせて章や項目を選択できますので、「初めて障害学生を受け入れる」「教職員のほとんどが障害学生支援の経験がない」「支援はしているが全学的な理解は進んでいない」等、貴校の実情にあったオリジナル研修が実施できます。


3.『支援ガイド』『事例集』と連動
『教職員のための障害学生修学支援ガイド』の参照ページがついています。また『障害学生修学支援事例集』の内容も考慮して開発していますので、これらを副教材としてご利用いただくと、より学習が深まります。


少しコメントを付け加える。


“基礎知識”ではあるが、情報量が多い。
パワポスライドにして424枚くらい、「映像編」(ビデオ版)を通しで見ると数時間はあるそうだ。こうやって見直してみると、もっと短くできたしそうすべきだったのではと個人的には思う。当時はそこまで余裕が無くて思い至らなかったが。
研修教材とする場合は自分たちの必要な部分を抽出して用いることになるだろう。委員会の後半は、どうやって抽出しやすくするかの議論も加わった。だから資料の始めにある「使い方」のような案内部分を参照して使っていただくのがコツと言えばコツだろう。*2
研修時に使う場合には、基礎資料としてお使いいただき、講師が適宜アレンジを加えるような使い方があって良いと思うし、個人的には是非そうしてもらった方がしっくり来ると感じている。

そうだ。どこかに書いてあると思うが、書いてないかもしれないので付記。パワーポイント教材の各スライドにはスライドの説明としてノート欄(コメント欄)に何行かの記述が加えられている。これを読めばいちおう自学自習、研修ができるというか。そして「映像編」(ビデオ版)の解説音声(ナレーション)は、基本的にはこのスライドのノート欄記載に基づいている(必要に応じた修正はある)。音声説明だけでは困るという方は、読み原稿として参照いただきたい。


情報量は多いけれど、基礎知識である。
枚数が多いのは丁寧に書いているからということか。自分の組織で障害学生の支援を始めてみると、ここに書かれている先、すなわち個別のノウハウが必要になる。何だ書いてないじゃないかと言われるとそうなので申し訳ない。しかし本資料を利用していただく対象は、次のような教育機関を想定している。すなわち、まだ障害学生の支援経験がない、あるいはかつては居たが今は居ない、ときどき入学する、**障害学生はいるが他の学生は経験がない、などの教育機関を想定している。JASSOの年次調査によれば、そのような大学等(大学、短大、専門学校など)がかなり多くを占めていると思われるからである(たとえば平成20年度については、こちらのページを参照;http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/chosa0801.html)。個別的・応用的な課題に対する回答については今後の課題だが、現時点では、同ページで紹介されている「障害学生修学支援事例集」をご覧いただくなどの対応法となる。あるいは拠点校のネットワークに聞いていただくなど。あるいは「障害学生修学支援のためのFAQ」もある。十分かどうかは分からないが、ご紹介まで。
でも実際には、検討会など実践的に協議できればいいのかなと思うが。


対象と目的を絞ったために外したこともある。
先ずは上述したように、個別的・応用的な課題。
加えて私自身は、大学院における支援に関することや、他の障害(高次脳機能障害精神障害など)に関することなどが書かれていないと理解している。ただしこれらはまだ書ききれない部分でもあるとも言える。実際、大学院における課題を別途検討する必要があると何名かに話したが、いまひとつピンと来ないようだった。しかし本学でもトラブルや悩みはあるので、是非ともこちらの検討を進めるべきと思っている。本件についてはまた別稿で。賛同いただける方はご連絡いただきたい。連絡と検討の輪ができれば嬉しい。


まだ書くべきことはあると思うが、時間がないので走り書きのようなものでご勘弁を。
 

*1:さきほど初めて報告書に付属するDVDの完成版を見た。ビデオ映像の視聴はWindowsMediaCenterなどのツールで確認できるが、同じDVDに入っているパワーポイントのファイルを取り出すのは少しわかりにくいかもしれない。今手元にないので曖昧だが、DVD内のデータフォルダに入っていたと思う、たしか。

*2:もっとこの部分が見やすく充実できた方が使い勝手を良くできたのではという反省はある