消費者保護と福祉領域の保護

前エントリーの続き。
以下はばらばらと書き付けただけなので必要なことをきちんと見渡せていないと思う。その辺はご容赦を。


昨日のシンポ本番ではなく雑談の中で少し出ていたこと。消費者領域と福祉領域の保護をどう考えるか。
消費者被害対策の領域では保護という言葉を使う。もともと消費者と製造・販売者では情報や立場が不均等であるために保護しなければならないとされていた。しかし昨今の福祉領域では保護というあり方を嫌うのではないか?との質問。少し丁寧に考えたほうが良いし私以外の人がきちんと取り組んで欲しいと思いつつ、その場でうーむととりあえず考える。


もともと民法も含めて法律で前提とする人間は、与えられた法的な課題に対し十分に理解判断し意思表明できるとされている(強い人間観)。そしてこのような前提を満たせない人間は舞台からの退場を命じられた。それがある意味保護だった。しかし昨今は必ずしも人間はそうではないとの考え方から法律や制度設計すべきだとの姿勢が出てきている。そこでは保護のあり方自体が変わってきている。すなわち舞台に上げたままで必要な法律行為が適正に動かせるようにするということなのかもしれない。

こうした場合、弱いとされている立場の改善(あるいは手出し)がどの程度まで行われればよいかは、あらかじめ定まったラインがあるわけではないし、状況によっても違うだろう。福祉の領域でもこれまでのパターナリスティックな支援のあり方から本人の意思尊重をした支援になってきているようだ。この際に本人を舞台袖に下げてはいけない。では本人の問題だから本人の責任で決定をと投げるのではなく、本人がその後の舞台も引き続き務めることを念頭に置きつつ手伝う。

保護=本人を舞台から下げた解決行為と考えるならば、権限・権能や役割の違いなどからどうしても保護的に機能する部分は残ると思われる。ただしかたちとしては最初からやってくれる保護ではなく、代行による対抗事務執行のようになるのかもしれない。その適当なラインは今後もっと掘り下げられてくるのではないか。いずれにしても現在は保護であっても中身は少しずつ変わってきているらしい。ならばいずれ消費者保護との呼び方も変わるのかもしれないし、まだそれは外すべきではないとの意見もあるかもしれない。業界(?)全体として考えることだ。