泥酔妻暴行死で夫に実刑判決 度を越した犯行と大阪地裁(2009-08-10、共同)

昨年末に堺市で起きた事件については既にここでも紹介しているが、これについて8月10日に判決が出た。ニュースを引用する。


原文は下記にある。

キャッシュはこちら


同記事を以下に示す。

泥酔妻暴行死で夫に実刑判決 度を越した犯行と大阪地裁


 堺市で3人の幼い子を連れて飲み歩き泥酔した妻=当時(23)=に暴行を加え死亡させたとして傷害致死罪に問われた派遣社員音揃一成被告(28)の判決で、大阪地裁(中川博之裁判長)は10日、懲役5年(求刑懲役7年)の実刑判決を言い渡した。

 判決理由で中川裁判長は「泥酔の妻に暴行しても何ら問題解決にならず、酌量の余地は乏しい」とした上で「明らかに度を越した犯行で、暴行程度も強烈」と指摘した。

 判決によると、音揃被告は昨年12月19日未明、堺市堺区のラーメン店のトイレで、酔いつぶれた妻千尋さんの顔を繰り返し殴り、腹を踏み付けるなどして死亡させた。

 判決は、以前から千尋さんが妊娠中に酔いつぶれるなど飲み歩きを繰り返し、アルコール依存症の疑いがあり、軽度の知的障害だったと認定した。

 弁護側は最終弁論で「妻を諭し続けた忍耐は考慮されるべきで、計画性はない」と執行猶予付き判決を求めたが、中川裁判長は「不満や腹立ちは心情として理解できるが、犯行態様や結果をみると刑事責任は誠に重大」と退けた。


2009/08/10 17:06 【共同通信


これまでの記事はこちらで紹介している。


また関連記事はこちら。

10日の判決に戻る。
今回の判決では、被告の心情や反省の態度などに考慮を見せているが、しかし暴行程度の強烈さなどから実刑判決となったようだ。
個人的には、限られた知識での限界内ではあるが、今回の判決はあり得る範囲と考えている。(控訴、確定などについては現時点では不明なので、留意されたい)


しかしそれはそれとして、どうしてこのような事件が起きてしまったのかがもっと丁寧に検討されなければならないと指摘しておきたい。ここまで至らずとも、子育ての困難が原因あるいは背景となって事件となる例は少なくないからだ。本判決では被害者の妻が知的障害であることも認定されている。知的障害それ自身が直接的に本事件を生起させたということは困難だと考えるが、子育て支援の観点からすると、多面的な支援を子育て領域からだけではなく、障害福祉領域からも提供される必要のある場合は少なくない。いや、こうした場合には特にどの領域からの支援との縦割り的な考え方は却って諸事情によって支援提供を阻害しかねないため、多面的な対応スタイルが必要だろう。そうでなくとも(これに限らずとも)近年は多要因的・複合的なニーズの支援ケースが多くなっている。


もうひとつ、さらに難しいのだけれど、現行の諸サービス提供だけでは、彼らのような家族の困難に直接タッチ出来ない場合もあると思う。

海外における障害がある親の子育て支援の取り組みなどが日本では未だ十分に認識されていないため、どうしても彼らに対するニーズ対応は理解されにくい。
おそらく彼らの周囲の人々や、既に努力を重ねていた支援関係者も、一様に、もう少し何とかならなかったのかと思っているのではないだろうか。*1


(参考)

 

*1:原稿がまだ出来ていないので、不十分ですがここまでにさせてください…